ゲームタイトル
【ドラゴンクエストモンスターズ2
  〜マルタの不思議の鍵】

2002.1/11より 毎月11日更新?

written by . butyo

*前回までのあらすじ:荒らしが殺到し、大ピンチを迎えた速報DQM2だが、「DQ完全攻略」を開設した大ドラさん達の活躍で次第に落ち着きを取り戻し、新時代を迎えた。それにしてもまた公開日遅れ、申し訳ないです。ともかく、ついにエニックス公式大会が始まる。





第5話 「店舗予選への道のり」
(掲載日:2002.5/26)


ドラゴンクエストモンスターズ2
マルタのふしぎな鍵 スーパーバトルトーナメント

◆3/30〜4/1 炎の格闘場 in TOKYO GAME SHOW2001 SPRING
◆4月中旬〜5月下旬 全国各地で店舗予選開催
5/26 大阪地区大会 OMMビル
5/27 名古屋地区大会 電気文化会館 でんきの科学館
6/10 東京地区大会 東京ファッションタウン西館 TFTホール
6/10 全国決勝大会 東京ファッションタウン西館 TFTホール





 「ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵 スーパーバトルトーナメント」、エニックス主催のDQM2公式大会がついに始まる。戦いはイル発売の直前、2001年3月30日から4月1日に開催した、東京ゲームショウ春の「炎の格闘場」から始まっていた。「炎の格闘場」は3月30日、31日、4月1日の3回開催された。


 3月30日はメディア対抗戦。ゲーム雑誌の編集者が出場して対戦した。詳しくは不明だが、写真から見て16人以下が出場。「ファミ通」「Vジャンプ」は2回戦からのシード出場だったので、おそらく14人が出場したものと思われる。(他にわかっている出場者は「電撃GBA」「小学5年生」「ジーパラ」「小学3年生?」「ファミ通GBアドバンス?」)

 「電撃GBA」は1回戦で「小学5年生」と対戦して勝利。しかし2回戦で風のように永田を擁する「ファミ通」に敗れた。その「ファミ通」は準決勝で「ジーパラ」に負けた。「ジーパラ」は決勝戦で敗れ、準優勝。

 優勝は「Nintendo Kids(任天堂キッズ)」で出場者は通称「キッズお姉さん」、実はエニックスの司会者が試合中にアドバイスをしていたらしい。優勝賞品は広末涼子のサイン入りDQM2で、なんといきなり全国決勝大会の出場権も与えられた。キッズお姉さんは試合後乱入して対戦を挑んできたエニックスドラクエ課にも快勝した。準優勝の「ジーパラ」は賞品でDQM2イル編がもらえた。


 3月31日、4月1日には抽選で選ばれた16名によるトーナメントが行われた。両方とも3月15日発売の週刊少年ジャンプにて出場者の募集が行われたらしい。3月31日の方はこれ以上の情報が無い。


 4月1日の大会は当日2名欠席で14人でトーナメントが行われた。優勝者はギズモさん。初めての大会で試合内容に注目が集まった。主流な戦術は全力爆裂拳狙いだったようだ。初めて全力攻撃の威力を世に知らしめた点でギズモさんの功績は大きいと思う。ギズモさんには東京地区大会への出場権が与えられた。

 試合後、優勝者以外でジャンケンをして勝った前回全国大会経験者(!)のラミアス×3のモンスターを使う方が、エニックスドラクエ課のM田さん(松田さん)のらぶ、アンド、ぴーすと対戦し、判定勝ちした。この方にも東京地区大会への出場権が与えられた。M田さんは「みかわし脚や封印の祈りをうまく使い、打撃系への対処がうまい人が優勝するでしょうね。」とコメントを残したそうだ。


 無防備で戦う人が多くスクルトが使われたりもして、戦術的なレベルはまだまだだったらしいが、これは4月1日の話。まだ発売から1ヶ月も経っていない状態なのでこんなものではないだろうか。この時期だと普通の小学生だとまだクリアもしていない人とかもいたかもしれない。

 速報ではもうメタル化とか会心率とかの話がされていたみたいだが・・・。


 賞品は、1位 関東大会出場権、イル編ソフト発売日に届く権、DQカードゲームプロモカード(7種類の5つ星カード。レベル1、テリー・わたぼう・ワルぼう・ローラ姫。レベル3、スライム・ゴールデンスライム・キーファ)、広末涼子直筆サイン色紙。2位 イルぬいぐるみ、ワルぼうぬいぐるみ、DQカードゲームプロモカード(何かは不明)。3位(2名) DQカードゲームクイックスターター。参加賞 多分、DQカード。



 ここまでは以下の資料を参考に作成しました。当時の臨場感を味わうにはホイミソさんの体験記がオススメです。今読んでも面白い!速報伝説とは大違いだ・・・。



★スーパーバトルトーナメント、店舗地区決勝大会の日程

 ●エニックスの大会日程情報
 現存しないページを保存しているページweb.archive.orgより


★2001年 東京ゲームショウ春関連資料

 ●イベントステージスケジュール
  TGS公式サイトより ファミ通.comより


 ●炎の格闘場2001 3/30雑誌大会の記録
  G@MESより 写真付きレポート
  ジーパラ編集部のレビュー 電撃GBA編集部のレビュー


 ●炎の格闘場2001 3/31大会  資料なし


 ●炎の格闘場2001 4/1大会の記録
  優勝のギズモさんの大会記(web.archive.orgより)
  ホイミソさんの体験記 1234
  DQM2情報交換板過去ログ




 東京ゲームショウ春から始まったスーパーバトルトーナメントは、4月中旬から5月下旬まで全国各地で店舗予選大会が開催された。店舗予選に優勝すると地区大会に出場できるうえに地区大会当日に配布される、配合では手に入らないレアモンスターのラーミアがもらえる。(他にはジャンプ・Vジャンプの抽選当選者がもらえる)


 店舗予選の時点でモンスター選択は耐性を考慮することが重要となっていた。


 メタル化・セミメタル化については情報交換板でティオさん、蘭提督さん、大ドラさん達が論議し始めて広まった。今作でメタル化について話す際に耐性が「◎○△×」で説明されるのは、蘭提督さんらの説明方法が浸透したためだと思われる。個人的には数字でやる方が計算しやすいと思っていたが、確かに記号を使う方が見た目でわかりやすい。

 会心率についても情報交換板で話題になっていたが、まだ浸透しきっていなかったようだ。この時点で3匹ともメタル化会心率◎でかためてくる人も少しはいたようだが、発売から2ヶ月ちょっとの期間でそこまでできた人は少なく、グランスライム・ヘルゴラゴ・キングアズライル・オルゴデミーラ2など配合が難しい魔物を選んでくる人が多かったように思う。


 また、店舗予選までに「全力攻撃」「マダンテ黒い霧」を決め手とする戦術が主流になっていた。


 「全力攻撃」狙いは掲示板などで噂になり始め、東京ゲームショウでギズモさんが使って有名にしたもの。勇敢さの性格値をMAXまで上げるなどして全力率を上げ、全力爆裂拳(全爆)、全力五月雨切りで敵を一挙に全滅させるのを狙うと言うやり方。運に左右されると言われている。


 「マダンテ黒い霧」はファミ通が紹介して有名にした戦法。マダンテで大ダメージを与えて一匹を倒すと共に、黒い霧で回復魔法を封じて生き返らせずに数的優位に維持して競り勝つというもの。高年齢層、戦術に自信がある人はほぼ全員が採用していた。効果対象が敵全体から単体になって弱体化したとは言え、マダンテは前作テリーでの最強の特技。今作も決定的な特技の一つとなった。


 単純な理由から「マダンテ黒い霧」は使わないことにした。まず全ての特技を単体として評価し、その際にこの二つの技は損な特技だと考えた。


 「マダンテ」は単体ダメージ800〜だが、エニックスルールで1回しか使えない上にMPを全部消費してしまう。1000ダメージ×数発の全力攻撃が出るチャンスを無駄にする上、バイキルト系統切りでも750〜のダメージが期待できる以上、リスクが大きい損な特技。

 「黒い霧」は全員にかかっている呪文の効果を打ち消して、呪文を使えなくする特技で、自分が出しても敵が出しても同じ効果。どうせ同じなら敵に出させた方がいい。単体として考えたら1回分の行動を無駄にする明らかに損な特技。


 もちろん両者とも状況によって大きな威力を発揮する技で、使用者の技量次第で対戦に決定的な影響を及ぼすが、単体で考えると決して使って得な特技ではない。

 「本気で最強を目指すなら単体で損な特技を入れていてはいつか負けるのではないだろか?」当時、そう思って「マダンテ黒い霧」は捨てることにした。特に黒い霧については単体で見ると完全に損な特技なので、絶対に入れるべきではないという確信があった。損な特技を使わなくて済むような、より洗練された戦術を見つけるべきだと・・・。

 今思えば、自作対戦プログラムでのゲームバランスを崩す「ラッキーパンチ」の圧倒的な強さ(第3話参照)を目の当たりにしていたことも、この決定に影響していたと思う。また、ライバルサイト「いっしょにTalk!DQM2」ではファミ通等、雑誌の情報がよりストレートに反映されていて、それもあってかファミ通色の強い戦法をそのまま取り入れて「マダンテ黒い霧」を主軸に添えるのには抵抗があった。加えてマダンテは前作テリーで絶大な威力を発揮した特技。今回もまたマダンテでは芸が無い。

 しかし当時は、初心者(小中学生)=全力狙い、上級者=マダンテ黒い霧、のイメージがあった。小中学生を含めると「マダンテ黒い霧」はまだ完全には浸透していなかったが、速報の常連さんはもちろん、一定のレベル以上の上級者のほぼ全員が使っていて、ファミ通で紹介されてからの後半の日程の店舗大会では小中学生でさえも使い出している始末だった。そんな中で「マダンテ」「黒い霧」を外すのはかなり特殊な考え方だったのではないだろうか?

 それまで実戦経験ゼロで、掲示板の書き込みを元にした机上の理論(空論)のみで戦術を組み立てていたからこそできた判断だったのかもしれない(笑)結局、このこだわりは最後まで押し通す事になった。


 店舗予選が各地で始まってから、速報の常連さんは次々と優勝し地区大会出場を決めていった。また、いっしょにTalk!でも続々と店舗優勝者が現われ、複数いる管理人の御一人ふちけんさんによって早々と店舗大会の優勝体験記が掲載された。速報がTalkに逆転されつつあった当時、これがまるで勝利宣言のように見えた。

 自分でも真剣に戦術を練ってはいたが、あくまで速報DQM2のサイト運営を優先していたので、店舗予選出場は怖かった。『速報の管理人が店舗予選敗退!』これではまるで敗北宣言しているも同然。DQM2サイトとしてTalkに完全に敗北してしまう。初めはできるだけ理由をつけて出場しないつもりだった。しかし本当に出場しなかったらここまで情報提供で頑張ってくれた常連さんたちに示しがつかない。


 結局、店舗予選は地元のゲーム屋に1回限り出場することにした。

 仮に色々店舗を回った挙句に全敗してしまったとしよう。もう終わりである。何の言い訳もできない。『速報の管理人弱し!』後で何と言おうとも事実は消えない。常連さん達がどれだけ肩身の狭い思いをするか・・・。『やっぱTalkの方がいいじゃん』・・・やだ!それだけは絶対に避けたい!

 しかし、1回だけなら負けた場合もまだ言い訳がつく。たまたま運が悪かっただけだと思ってくれる。『速報の管理人なのに店舗予選で負けちゃったよ(笑)』とギャグにすればいい。逆に話題になるかもしれない。先に負けた時のコメントを用意していたのは情けないが、常連さんに恥をかかせるわけにはいかなかった。


 出ると決めたからには、できれば優勝したい。それからは常に資料を持ち歩いて、大学の授業中も戦術を練り、頭の中で対戦シュミレーションをし続けた。また、一人でゲームボーイを2台繋いだり、パソコン上で繰り返し試行したりして研究をした。

 それで、技の対象の選択について調べている時、「マダンテ」や「すてみ」がHPの少ないキャラに優先して飛ぶ事に気付いた。(全員耐性同じの時)『これは使える!』これを含めた黒い霧後の「みかわしきゃく」の有効利用を「マダンテ黒い霧」対策とした。

 敵が「マダンテ」「黒い霧」を打った後に「みかわしきゃく」をすれば、3対2で数的優位に立っている相手はこちらが強化しても心理的に「いてつくはどう」を打ってこないはず。打ってきたとしてもMP0の仲間を抱えている時点で敗北は必至。みかわし状態なら3対2でも一方的な殴り合いになり、逆に有利になる。


 肉を切らせて骨を立つ!HPの低いのが大防御であわよくばを狙うとは言え、味方が一匹死ぬ事を前提とした「マダンテ黒い霧」対策。こんな発想は普通無いだろ、俺ってば天才だッ!よっしゃあ!


 賢明な読者の皆様はもうお気づきだと思うが、実はこの時点で「マダンテ黒い霧」について大きな勘違いをしていたのである。そして店舗大会前日までさらに大きな勘違いもしていた。


 攻撃戦法の主軸として「バイキルト+さみだれぎり」を採用した。理由は単純。「さみだれぎりはバイキルトがかかっていても爆裂拳と違って全力攻撃のダメージが1000のまま」と言う、とんでもない勘違いをしていたのである。もう完全なアホだ。


 「バイキルト+さみだれぎり」で大ダメージをあたえつつ全力も狙う。あぁ・・・。バイキルトを選択的にかけるのは、前作テリーの対戦研究サイト「最強流道場」に掲載されて広まった方法で、今回も使えた。AIではバイキルトが攻撃力の高い味方に優先的にかかるのを利用し、バイキルトをかけたくない味方の攻撃力をあえて998、997のように下げておくと言うもの。

  ●最強流道場(このサイトも現存せずweb.archive.orgより)



 戦術については情報交換板でも活発に議論されたが、一部の常連さんの間で一般に広まって欲しくないものについて大ドラさんが運営する裏掲示板・裏チャットで論議された。実は更新が忙しくて店舗予選まではほとんど顔を出せなかったが、ホイミソさん、大ドラさん、蘭提督さん、G-EMAさん、大僧正さんなど速報・完全攻略の常連さん達が来ていたようだった。

 当時からここに頻繁に通っていれば、「バイキルト+さみだれぎり」は全力アリなんて勘違いは無かったと思う。実戦経験があれば言わずもがな。店舗大会前日にめずらしく裏チャットに行って「全力アリのバイキルト五月雨で頑張ります」みたいな発言を残して帰ったような覚えがある。後で話題になって心配されていたらしい。


 思えば店舗開催前にファミ通で技対象の法則を暴露したのがケチのつき始め。せっかく自分で調べたのが無駄になった。とにかく実戦経験の無さは致命的だった。

 直前に学校の友達(一般人)にテキトーに操作してもらって対戦練習してみたが、初めは画面の動きにすらついていけず、何が起こっているかも把握できない状態。何とかその日のうちに慣れて、普通に操作できるようになったが、その日も全力五月雨がバイキルトで無効なことに気付かなかった。


 結局気付いたのは、店舗大会前日の24時30分、というか当日の午前0時30分だが・・・。気付いた時は蒼白になった。本気で心臓が凍った。




 ジャブ&ブロウなど、全力や確率についての考え方。「マダンテ黒い霧」対策のちゃんとした説明。個々の戦法で他に説明すべき点などは次回に回す。店舗戦術の全体的な説明も次回。徹夜で書いて、今はとにかく眠い!



つづく






現在までの登場人物 74人
(ノルマ100人)


次回は部長が店舗予選大会出場!
第6話「ちぃ たたかう(仮)」

来月は休載になりそうな予感も。






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