第1話「ビデオデッキの故障」
佯太は怪しげなレンタル屋で美少女のビデオテープを借りてきた。
それは、再生するとその美少女がTV画面から飛びだしてきて、まるで現実の女の子のように振る舞うというスゴイ商品で、佯太は再生したら一日中ハメまくるつもりだった。
しかしパッケージの美少女はビデオデッキの故障で写真とは違う形で再生された。
再生されたのは少女ではなく、明らかに中年だった。
しかももっと悪い事に、昔、近所に住んでいた品の悪いオバサンに顔がそっくりだった。
そいつはTV画面から飛びだしてきて、好き勝手な事を言いまくった。
「なぁ、ちょっと、あんたねぇ、なんで故障したデッキで再生するんよぉ!?」
「おばちゃん、えらい怖い思いしてんでぇ!!」
「どないしてくれんのぉ!!まぁ、バストが無事で良かったけど。」
佯太は込み上げてくる怒りを必死で抑えながら静かに言った。
「帰れ。」
「なに言うてんねんな!?」
「あんたの目的はわかってんねんで!!」
「恥かしがらんでもええやん!!」
「遠慮せんと、はよぉパンツ下ろしぃな!!」
「ええから、おばちゃんに全部任しとき。ぐふふ・・!!」
「か・え・れ」
そいつはしばらくグダグダ文句を言い続けたが、無視し続けるとあきらめて帰る用意を始めた。
「じゃあ、ほんまにいいんやね。あとで後悔したって知らんよ。」
「早く帰れよ。」
そのとたん、故障していたはずのビデオが急に正常に作動し始め、そいつはオバサンの姿から元の美少女の姿にもどった。
「では、さようなら!!!」
「ちょっと、待って!!」
ビデオの再生が自動的に停止した。
佯太は急いでそのビデオテープをもう一度再生しようとしたが、テープは白い煙になって跡形もなく消え去った。
「なお、このテープは自動的に消滅する・・・」
――完――
ご声援、ありがとうございました!!
次回作にご期待下さい!!!