DRAGON QUEST (ドラゴンクエスト)
・・・ドラゴンクエストシリーズの記念すべき第一作。
DQコラム01 「ドラゴンクエスト1〜しゃべらない主人公」
ドラクエは和製RPGの元祖のような存在であり、
ライバルのFFシリーズと共に日本のゲーム業界を黎明期から牽引してきた存在でもある。
昔はよく、ドラクエ VS FFなんて議論で盛り上がったものだ。
(今では同じ会社のソフトになってしまったが…)
議論の中でよく言われていたのが、
FFは映画的な作りで、主人公がプレイヤーの手を離れて一人でしゃべるのが特徴で、
ドラクエはプレイヤーの体験に重きがおかれ、
主人公が全くしゃべらないのが特徴ということだった。
しかし、ドラクエは本当に主人公が全くしゃべらないのか?
実はそんなことは無い。
もちろん、例えば、
ドラクエ6の主人公は「うわ〜〜っっ!!」と叫んで目を覚ますし、
ドラクエ3の主人公は「おまえ好きだなぁ。後で話を聞かせてくれよなっ。」と話すことがある。
たが、もっと明確に意味のあるセリフを話すシーンが
なんと、第一作のドラゴンクエスト1にすでにあったのだ!
それはラストシーン。
竜王を倒し、ラダトーム王に謁見している場面である。
ラダトーム王
「全ては古い言い伝えのままであった!
すなわちそなたこそは勇者ロトの血をひくもの!
そなたこそ、この世界を治めるにふさわしいお方なのじゃ!
わしに代わってこの国を治めてくれるな?」
しかし、あなたは言いました。
「いいえ。 私の治める国があるなら、それは私自身で探したいのです。」
主人公がしゃべらないことで有名なドラクエシリーズだが、
実は、第一作ですでにしゃべっているのだ。
それまで全くしゃべらず、プレイヤーの分身だった主人公が
唐突に話し出すこのシーン。
もちろん意図された演出であるものと考えられる。
つまり、それまで、プレイヤーの分身であった主人公を
そのシーンを境にプレイヤーの手を離れたゲームの登場人物へと変化させ、
物語をプレイヤーからフェイドアウトさせているのである。
突如、映画的な振る舞いを始めた主人公はその後すぐに旅立ち、
映画のエンディングのようなスタッフロールに続いていくわけだ。
この鮮やかに物語がフェイドアウトしていくドラクエ1のラストシーンは
シリーズでも屈指の名シーンだと思う。
それはともかく、しゃべらないと思っていた主人公が突然しゃべり出す斬新さ・・・。
シリーズの中で次々と新しい発想を導入して進化してきたドラクエだが、
その片鱗は第一作のドラゴンクエスト1から見せていたわけだ。
そしてその進化は続編となるドラゴンクエスト2以降も、続いていくことになるのである。
2010.4.10 butyo
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