『ただの勇者の冒険の書1』 |
ジャンル |
DQ3小説 |
作者 |
カミィユ さん |
投稿日 |
2001.11/18.16:36 |
表編1と2を第1話、第2話に変えてください。それと勇者はティオスです。ロインは盗賊です。
|
龍暦1546年8月4日の夜
ティオス「(眠っている)?・・・。きみは・・・?」
そう、立場が悪かっただけ・・・。
こうすれば一緒になれる・・・。
一人の女性が・・・人間とは思えない美しさ・・・その人が、
一人に青年と一緒に湖に入っていった・・・。
待ってくれ!ティオスは叫んだ・・・つもりだったが、声が出ない。
次第に二人の姿は湖に沈んでゆく。
ティオスは後を追った。が、足が動かない。二人は見えなくなった。
やめるんだ!ティオスは叫んだ。しかしやはり声が出ない。
ーーーーーーーッ!ティオスは声にならない声で泣き叫んだ。
もう間に合わない。
おい・・・ティオス・・・?声が聞こえてくる。
彼は気がついた。森の中の大木にもたれていた。
夜はすでに明けていて、ロインがそこにいた。
ティオス「あれ・・・?」
ロイン「あれじゃねーよ!お前またうなされていたぞ。」
ティオス「そうか・・・。」
ロイン「お前やばいぞ。その変な夢見るの。」
ティオス「わりいな・・・。」
ロイン「ま、悪夢見んのは仕方ないか・・・。いつからだっけ?その夢見んの」
ティオス「ちょうどノアニールっつー村でオスカーって言う男を
探してくれと変なじいさんに頼まれたときからだ。」
ロイン「こえーな・・・。」
ちょうど4日前ぐらいだろうか。彼らはノアニールという村に着いた。
しかしその住民はほとんど眠っている。立ったまま寝ている人もいた。
そしてそこから一人だけおきている老人を見つけ、訳を聞いた。
どうやら村の青年とエルフの娘が恋に落ち、
娘が夢見るルビーを持っていってしまった事をエルフの女王が怒り、
村の青年を残してノアニールの村人を全て眠りにつかせたという・・・。
一人残っていた老人は、村が眠らされる時にたまたまカザーブにいたため助かり、
戻ってきた時に青年が残した手紙から全てを知った。
青年は娘と共にルビーを返しに行くと
言って村を出たきり行方不明・・・。その青年がオスカーだった。
ちなみにティオスたちはカンタダを後回しにする事にした。
ロイン「あ!ついたぞ!」
そこは森の中にぽつんとある村、エルフの里だ。
彼らは早速エルフの女王に会いに行った。
女王「・・・その青年がルビーを返しに?」
ティオス「そういうわけなんですけど・・・。」
女王「だれか、エレナを呼べ!」
ロイン「・・・?」
数分後、一人の女の子がやってきた。年は15,6ぐらいだろうか。
女王「彼女は心清き僧侶です。あなたたちが言っている事が
うそか本当かぐらいすぐ見抜けます。さあ、どうですエレナ?」
エレナ「・・・・・・。彼らは事実を言っています。」
女王「そうか・・・。誰か!イナッツ(エルフの娘の名前)と
ノアニールの青年を探せ!」
女王はそういうと、脱力した。
女王「そなたら、私の話を聞いてくれぬか。」
ティ・ロ「・・・?」
女王「二日前の事だった。
その青年が帰ってきたのだ。謝りたいと言って。
しかし私は聞き入れなかった。私はイナッツを信じていたからだ。
それだけに信頼を裏切られた事は大きく、彼らの話を聞こうともせず、追い出した。
だが今となってはあれもかわいそうなことをしたと思っておる。それに・・・」
使い「女王様ーッ!」
女王「なんじゃ、騒々しい。」
使い「い、今、知らせが入って・・・。ここから南の湖から夢見るルビーと、
イナッツとノアニールの青年の遺体が発見されました!」
女王「何!?」
使いたちによって、遺体と夢見るルビーが運ばれてきた。
エレナ「お、お姉さまーッ!」
エレナはイナッツの遺体に大泣きした。あたりに泣き声が響いた。
ティオス「この人・・・、もしかして!」
そう、ティオスが見た夢に出てきた女性と青年はこの二人だったのだ。
顔といい、湖に入って死ぬという話といい、彼が見た夢にそっくり。
女王「なんという事だ・・・。私が二人を追い出したばかりに・・・。」
使い「亡くなってから、二日ほど経っていると思われます。」
女王「ということは・・・やはり私が・・・。エレナよすまない。
私が二人を追い出したために、お前の姉を・・・。」
エレナ「いえ、女王様のせいでも、この青年のせいでもありません。
運が悪かっただけなんです。」
その日、女王はノアニールの呪いを解き、二人の葬式が行なわれた。
ティオスとロインも出た。
後になって二人は聞いたが、エレナとイナッツは人間の子供らしい。
ちょうど15年前、エレナが赤ん坊、イナッツが五歳の時に、
一人のエルフが里の近くの海辺で二人を見つけ、連れてきた。
そこには手紙が添えつけられていた。
「この二人は王政のひどい国から逃がしたものです。
どうかこの二人を育ててください。母より。」
そして二人はエルフの里でエルフとして育てられたという。
葬式の翌日・・・。
ティオス「女王様、お世話になりました。僕らは今日、旅立ちます。」
女王「そうか・・・。おぬしら、頼みがある。エレナを連れて行ってくれ。」
エレナ「!?な、何を言うんですか女王様!」
女王「もともとお前が育ったら元の母親に返さなければと思っていた。
だが、私はそなたがどこで生まれたのか知らぬ。
そこでこの者たちと旅をして、探すのだ。」
エレナ「いや、私はここにいたほうが幸せです。私の育った故郷ですし、
エルフの皆さんに呪文や言葉を教わったし、素敵な幸せもくれた。
だから、これから皆さんに恩返しをしたいんです。姉さんの分も。」
女王「いや、行け。近頃魔物がうごめき始めた。
魔王と言う者が存在するという説もある。
私も魔物に最愛の人と引き裂かれた。
だから、魔物の恐ろしさはわかる。
それに、そなたがやるべき事は、こんなちっぽけな村よりも、
世界を旅して探すべきだ。そなたならそれがきっと見つかる。」
エレナ「・・・・・。」
女王「ティオス、ロインといったな。
どうじゃ?エレナを連れて行ってはくれぬか?」
ティオス「俺は別にいいけど・・・。」
ロイン「ま、俺もね。」
エレナ「・・・・・・わかりました。」
彼女は旅立つ決意をした。
2時間後・・・。
エレナ「女王様、お世話になりました。」
女王「うむ、気をつけてな。」
エレナと女王は握手を交わした。そして3人は旅立った。
使い「女王様・・・。」
使いはそういって女王にハンカチを渡した。
女王「お主気が利くな・・・。」
女王は泣いた。最愛の人と引き裂かれて以来の流した涙だった。
女王「イナッツ、それに、私の最愛の人、オルテガよ・・・。
エレナたちにご加護を・・・。」
遠い昔、女王は恋をした。しかし、それは叶わなかった。
女王はずっとふたをしていた記憶を甦らせ、涙を流した・・・。
ノアニールにて・・・。
例の老人「そうか・・・皆が目覚めたからオスカーは生きておると思ったが、
そんな事があったのか・・・。」
ティオス「でも、オスカーさんもイナッツさんもかすかに微笑んでいました。」
例の老人「そうか、それがせめてもの救いじゃな・・・。」
ロイン「じゃあ、行こう!」
エレナ「ええ。」
例の老人「気をつけてな。」
3人はノアニールを出て、カザーブへ戻っていった。
女僧侶のエレナ、盗賊のロイン、勇者ティオスの旅は続く・・・。
続く。