やぁ、みんな、久しぶり。丸岡のこと、覚えててくれたかい?(いいえ)
今回は、ギャグ小説に似合わず、終わり方がちょっぴり暗いムードだけど、許してやっておくんなまし。
<後編 ギャンブラーの丸岡>
実況
『さぁっ、モモイロゼリーがラストスパートをかけました。
その後ろにワキゲボーボー、フザケンナヨ、オヤジノシリが続きます』
丸岡
「よしっ! 行けモモイロゼリー!!」
ここはハナゲ競馬場。
世界各地から、選りすぐりのジョッキーと馬が集う、宇宙最大(仮)の賭博場である。
ギャンブラーに転職した丸岡は、7―5・・モモイロゼリーとフザケンナヨの馬券を購入していた。
丸岡
「よしっいいぞ! フザケンナヨ・・もうちょっとスピード出ないか・・・!?」
丸岡が心配していると、オヤジノシリの後方からものすごいスピードで二頭の馬が追いかけてきた。
実況
『む・・・? おぉっ、あの馬は!
やはり、このレースの勝利を得るのは、あの二頭なのでしょうか!?
ユーシャブチョーとマッスルボーブが猛ダッシュでモモイロゼリーたちを追いかける!』
ボーブ
「・・どうだブチョー。追いつけそうか?」
ブチョー
「本気を出せば、あんな奴ら、すぐ沈むわ。
あたしたち姉弟の恐ろしさを教えてやりましょう」
ユーシャブチョーは、にやりと冷酷に笑った。
二頭の姉弟馬が、時速32光年のスピードでオヤジノシリを追いかけた。
オヤジ
「う・・うわぁっ!」
ブチョー
「どきなさい! この尻オヤジ!!」
そう言うと、ブチョーは心の中で呪文をつぶやき始めた。
ブチョー
「ウメデイン!!」
ユーシャブチョーの唱えたウメデインは、オヤジノシリの梅干し濃度を84%増加させた。
オヤジ
「そうか・・そうだったのか!」
オヤジノシリは、自らの使命を悟り、全世界に梅干しブームを巻き起こすべく、長い旅に出た。
実況
『あぁっ! オヤジノシリ万事休す!! 梅干しの魅力にとりつかれてしまいました!!
恐るべし勇者ぶちょ・・じゃなくてユーシャブチョー!!』
丸岡
「くっ・・なんと卑怯な奴らじゃ!!」
ボーブ
「少しやりすぎじゃないか?」
ブチョー
「ふん。あたしたちの前を走った罰よ!!」
そして、ブチョーの狙う次のターゲットは・・・
丸岡
「まずい! 逃げろ、フザケンナヨ!!」
ブチョー
「はっはっはっ!! 死になさい!!」
フザケ
「僕は・・・」
キンギョ
「させるかぁっっっ!!」
キョダイナキンギョはすかさず青い何かを産み、モモイロゼリーに投げつけた。
だが、狙いは外れた。青い何かは、ワキゲボーボーに58万ボルトのダメージを与えた。
ワキゲ
「いてっ」
ワキゲボーボーは『3文字』の遺言を残し、息を引き取った。
伝説の英雄『ワキゲボーボー』の栄光の軌跡は、人々の心に永久に刻まれることであろう。
そう、虹色に輝く、あのダイヤモンドのように・・・。
丸岡
「よぉしっ! 行けるぞ!!
一着モモイロゼリー、二着フザケンナヨでキマリだ!!」
??
(それはどうかな?)
丸岡の頭の中に、邪悪な声が響いた。
丸岡
「!? ・・何か用か? 木下」
木下
(モモイロゼリーはちょっと張り切りすぎたみたいだよ。
ほら、見てごらん)
実況
『おっと! 少し、モモイロゼリーのペースが落ちてきているようです!!
ラストスパートをかけるのが早すぎたか!?」
ゼリー
「はぁ・・はぁ・・・」
ジョッキー
「大丈夫か? モモイロゼリー」
ゼリー
「私のことは気にするな。構わず鞭を打て」
ジョッキー
「・・わ、わかった」
パシッ。 バシッ。
ゼリー
「痛ぇんだよクソ野郎!!!」
鞭のあまりの痛さにキレたモモイロゼリーは、究極呪文『モギラゴン』を唱えた。
ジョッキー
「ぐああああっっっっ!!!!!!!!!」
騎手は、モギラゴンの毛の業火に包まれながら、救急車で病院に運ばれた。
実況
『な・・なんてこったい!!
モモイロゼリーの騎手『サラマンダーしげる』が緊急入院してしまいました!!!
よってモモイロゼリー脱落!!』
丸岡
「そ・・そんな・・・」
丸岡は、がっくりと肩を落とした。
丸岡
「また・・はずしてしまった・・・」
木下
(くっくっく・・はっはっは!!)
丸岡
「何がおかしいんじゃ!!」
木下
(やっぱりキミ、ギャンブラーには向いてないよ。
素直にボクの元で働いたらどうだい?)
丸岡
「誰が・・誰が、貴様なんかの元で・・・!」
木下
(つまんない意地はるなよ。日給30万ゴールドでどうだい?
10年弱で3億稼げるじゃん?)
丸岡
「・・わかった。お前の元で働こう。何をすればいいんだ?」
木下
(ボクの『計画』の邪魔をする奴らを、片っ端から殺すんだ)
丸岡
「なんだと・・!?」
木下
(ボクは、『あの子』のために、この世界・・
いや、『この世界に住むすべての人間ども』を、滅ぼさなければならないんだ)
丸岡
「人間を滅ぼすだと!? 馬鹿なことはやめろ!!!」
木下
(ククク・・安心していいよ。
ボクの元で一生懸命働いてくれた奴らだけは、殺さないから)
丸岡
「ワシが言ってるのはそういうことじゃない!!」
木下
(クク・・丸岡くん。キミの働きに期待してるよ)
そして。
ワシは、何人もの人間を殺めていった。
何人もの罪のない人々を、殺めていった。
すべては・・金を稼ぐために。
娘を・・まる子を救うために。
<丸岡物語・完>
http://members.goo.ne.jp/home/rocky75 もよろしく♪
|