<前編 国語教師の丸岡>
ワシの名は丸岡。ワキクセー中学という所で国語教師をしておる。じゃが・・・
今日をもって、ワシは教師を辞める。そのことを、ワシの可愛い生徒たちにどうやって
打ち明けようか・・考えるだけで、胸が痛むわい。
アイツら・・どんな顔をするじゃろうか。ワシが教師を辞めると知ったら・・どれくら
い悲しむんじゃろうか。
悩んでいる間に、ワシはいつのまにか、ワキ中に到着していた。
体育教師
「丸岡先生、遅かったじゃないですか」
丸岡
「おぉ、プチトマトか」
彼の名はプチトマト。暗算が苦手な体育教師。生徒からの人望はかなり厚いそうじゃ。
ワシには負けるじゃろうがな・・・
プチトマト
「さっ、早く朝礼台に。生徒たちにあのことを打ち明けなくては」
音楽教師
「おや? 丸岡先生じゃないですか」
丸岡
「おはよう、野魔」
彼の名はノマ。漢字で書くと野魔じゃ。
野魔
「さっさと生徒に話してくださいよ。私は今日で教師を辞職します・・ってね。首を長く
して待ってました」
丸岡
「・・うむ、すまん」
このトランペット野郎は、さっさとワシに辞めてほしいらしい。全く、腹立たしい男
じゃ。
デブ
「おーはー。丸っち」
丸岡
「おはよう、デブ」
このデブの名はデブ。身長は4cm、体重は8万トンという、とんでもないデブじゃ。
デブ
「残念だなぁ・・・。丸っち、今日で辞めちゃうんでしょう? またいつでもこの学校に
遊びに来ておくれよ」
丸岡
「お言葉に甘えさせていただくぞ」
数学教師
「おはようございます、丸岡先生」
丸岡
「おはよう、トシピー」
このトシピーは、22世紀の世界から派遣されてきた「ヒツジ型アンドロイド」なの
じゃ。実は実験作らしいが、その人工知能(AI)には目を見張るものがある。IQは人間で
いうと「5」に相当するらしい。
そして・・・
校長
「おはよう、丸岡君」
丸岡
「おはようございまっする、携帯電話校長」
このお方こそ、大魔王「肩の上のホクロ」を倒した伝説の英雄・携帯電話様なのじゃ。
戦闘力は52リットル、好物はメロンバーらしい。
携帯電話
「・・ついに、この時がきてしまったようだな。さ、その朝礼台の上に立ち、生徒たちに
告白しなさい」
丸岡
「・・わかりました!」
ワシは朝礼台の上に立ち、深呼吸をし、全神経を集中させ、巨大な金魚を召喚した。
巨大な金魚
「・・宇宙旅行してぇ」
そう言い残し、巨大な金魚は宇宙へ帰っていった。
丸岡
「みんな・・ワシが今から言うことを・・耳をかっぽじってよく聞いてくれ」
丸岡は、涙をこらえながら語り始めた。
丸岡
「ワシは・・ワシは今日をもって・・教師を辞める。このワキクセー中学を去る!」
生徒A
「!?」
生徒B
「丸沢先生・・・!」
生徒C
「そんな・・辞めないでくれよ先生!」
生徒D
「そうだよ! 辞めるなんて言うなよ!」
生徒E
「丸沢先生・・ここを去るなんて言わないで!!」
丸岡
「うぅ・・お前たち・・・!」
丸岡は感動した。顔は、涙でグッショリと濡れた・・・
ワシは・・ワシはこんなにも生徒から愛されていたのか・・・。
丸岡
「ワシだって辞めたくはない・・・! だが、昔からこう言うではないか!!『丸岡に二
言はない』と!」
プチトマト
「くぅっ・・さすがは丸沢先生! 漢の中の漢だぜ!」
野魔
「・・少しばかり見直しましたよ、丸沢先生・・・」
デブ
「今、食堂開いてるかな?」
トシピー
「うなじがかゆいです」
??
(ククク・・そんな台詞はキミには似合わないよ? 丸岡先生・・いや、もう先生は辞め
るのか)
丸岡
「! その声は・・木下か?)
木下
(例の件ですが・・もう3億ゴールドは用意していただけましたか? ボクは気の短いタ
イプですからね。娘さんがどうなっても知りませんよ?)
丸岡
「た・・頼む木下! 娘には・・まる子には手を出さないでくれ! 金は絶対に揃え
る!!」
木下
(もう何度その台詞を聞いたことか・・・。耳にたこができてしまいました)
丸岡
「頼む木下・・・! 昆布茶あげるから・・・!」
木下
(・・わかりました。丸岡に二言はない。この言葉を信じて待ってますよ。それじゃア
ディオス)
丸岡
「シマウマ」
携帯電話
「いやぁ、見事な挨拶だったよ丸沢君。キミなら教師を辞めても大丈夫っぽいな」
丸岡
「もったいないお言葉です」
携帯電話
「ところで・・今度は何に転職するんだね? この不景気の時代じゃあ、どこも雇ってく
れそうもないが・・一体、何に転職するんだい?」
丸岡
「ギャンブラーです」
プチトマト
「丸沢先生〜〜! たまには帰ってきてくださいよ〜!」
野魔
「さようなら・・丸沢先生」
デブ
「食堂のうどんってかたいよね」
トシピー
「マントヒヒ大量発生」
生徒F
「また会いましょう! 丸沢先生!!」
生徒G
「丸岡〜〜、二度と帰ってくんなよ〜〜!」
丸沢
「みんな・・また会おう!」
丸岡
(まる子・・待ってろよ!!)
こうして、丸岡と丸沢は、気分も新たに再冒険を開始した。
二人は途中でふた手に分かれた。丸沢はモンブランシティに、丸岡はハナゲタウンに向
かった。
果たして、丸岡は見事3億ゴールドをそろえ、娘のまる子を救い出すことができるので
あろうか・・・。
<続く>
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