<Mr.ムササビ殺人事件>
僕の名は、羊のポリー。人呼んで、羊のポリーだ。
僕には相棒が『いた』。そう、『いた』んだ………。相棒の名はMr.ムササビ。最高
の友人『だった』………
Mr.ムササビは自宅で何者かに殺害された。15月3757日のことだ。犯人はおそ
らく女性だと思われる。殺人現場に「30cmものさし」が残されていたからだ。
(最近女性の間で、30cmものさしを振り回して遊ぶのが流行っている)
おそらく、Mr.ムササビはこの30cmものさしで刺殺されたのだろう。
ゴリリャ
「犯人の年齢は、何歳くらいなんでしょうかねぇ?」
こいつの名はゴリリャ。僕の新しい片腕だ。だけど……こいつはあまり役に立たない。
Mr.ムササビと比較しての話だが………
羊のポリー
「犯人はおそらく……23歳前後だ」
ゴリリャ
「えっ!?なんでそんなことが………」
羊のポリー
「このダイイング・メッセージを読んでみろ」
〜ダイイング・メッセージ〜
背中の上のショベルカー。
小指に塗るマーガリン。
へその中のカマキリ………
そうか……そうだったのか………!
筆箱の中にあったのか!
母さん……見ててくれ!
おいどんは必ず、伝説のモンスター『黄金のマングース』を見つけたる!
だから……その日まで死んだらあかんで!ええな!?
マスタードの母
「何言ってんの!黄金のマングースなんかこの世にいるわけあらへんやろ!」
マスタードの母『もょもと』は、息子の意見に反対した。
もょもと
「だいたい、黄金のマングースがどこに生息してるのかもわからんのやろ!?闇雲に探し
たって無駄や!行き倒れになるで!」
マスタード
「でも俺はマングースを探してみせる!絶対に!」
もょもと
「……そんなに探しに行きたいんなら、あたしを倒してから行きなさい!」
こうして、もょもとvsマスタードの、親子の悲しい激戦が始まった。
ゴリリャ
「……こんなダイイング・メッセージだけで、なぜ加害者の年齢が………?」
羊のポリー
「『背中の上のショベルカー』ってことは、犯人は23歳前後だろ?」
ゴリリャ
「あっ……そうか!」
羊のポリー
「わかったら、この付近に住んでる23歳前後の女性をさっさと捜してこい」
〜2年経過〜
ゴリリャ
「捜してきました!23歳の女性を!」
羊のポリー
(遅い……遅すぎる……。Mr.ムササビなら10秒でこなせる仕事を、2年かかっても
こなせないとは………)
ゴリリャ
「? どうかしました?」
羊のポリー
「あ、いや、なんでもない。……それで、容疑者は?」
〜容疑者リスト〜
名前 性 年齢 職業
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
ゴリ子 女 23歳 ゴリラ
牛乳 女 22歳 牛乳
トマト 女 25歳 野菜
侍マン 男 94歳 武士
Ms.モモンギャ 女 23歳 家庭教師
ゴリリャ 男 2億歳 刑事
ゴリリャ
「……以上の六人です」
羊のポリー
「……ん?こいつは………」
羊のポリーは、Ms.モモンギャという名前に目を付けた。名刑事ならではの第六感が
はたらいた。
羊のポリー
(もしかしたら……こいつがムササビを……?いや、考えすぎだ。モモンギャはムササビ
の彼女じゃないか………)
〜ゴリ子との面談〜
ゴリ子
「あたしは犯人じゃない!」
羊のポリー
「なぜ、そんなことが言えるんだ?」
ゴリ子
「モモンギャさんが殺された時、あたしはバナナを15本も食べてたのよ!?そんな状態
でどうやったら殺人なんてできるの!?」
羊のポリー
「ん……そうか………」
〜牛乳との面談〜
羊のポリー
「さっさと吐いたらどうだ?」
牛乳
「私は犯人じゃない!家で牛乳を飲んでたんだもの!」
〜トマトとの面談〜
羊のポリー
「お前が犯人なんじゃないか?」
トマト
「あなたの好きな野菜は何?」
羊のポリー
「え?僕の好きな野菜?ん〜〜……ココアかな」
〜侍マンとの面談〜
侍マン
「また会ったなポリー」
羊のポリー
「今日こそ決着をつけてやる!」
侍マン
「うんあああぁぁああ………」
羊のポリー
「ぬんおぅおぉぉぉぉお………」
〜ゴリリャとの面談〜
ゴリリャ
「ボクが犯人です!」
羊のポリー
「え〜、鑑識の結果、犯人はお前じゃないことがわかった。もう帰っていいよ」
ゴリリャ
「ボクが犯人です!」
〜そして、Ms.モモンギャとの面談〜
羊のポリー
「……モモンギャさん、あんた、Mr.ムササビが殺された時どこにいたんだ?」
Ms.モモンギャ
「……もしかして、アタシを疑ってるのかしら………?」
羊のポリー
「いや、そういうわけ………(です)」
Ms.モモンギャ
「どうしてアタシが愛しのムサピーを殺さなきゃいけないのよ!動機が全くないじゃな
い!」
羊のポリー
「……本当に、殺す理由はないのか?」
Ms.モモンギャ
「無いわよ!このボンクラ刑事!」
Ms.モモンギャは、怒って部屋を出て行ってしまった一一一
羊のポリー
「くそっ!絶対にあいつが犯人なんだ!」
羊のポリーは、Ms.モモンギャを犯人だと確信した。
ゴリリャ
「でも、証拠も何もないのに、モモンギャさんを犯人にはできませんよ」
羊のポリー
「証拠は、絶対見つけてみせる!」
そう言い放ち、ポリーは殺人現場に走り去った。
羊のポリーは、今は亡きMr.ムササビと共につくりあげた思い出を振り返っていた。
羊のポリー
「ムササビ……Ms.モモンギャ……彼女との間に何があったんだ………」
証拠は………
羊のポリー
「証拠は……ない……。やっぱり、Ms.モモンギャは犯人じゃないのか………?」
羊のポリーが、犯人捜しを諦めかけたその時一一一
一一その時、辺りが暖かな光に包まれ、一人の男の姿がぼんやり見えてきた。
<続く>
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