<#1 マッスル殺人事件>
(問題編)
僕の名は『羊のポリー』。みんなからは『羊のポリー』と呼ばれている。IQ65万を
誇る宇宙一の刑事だ。
今日もまた、僕の全身を震わすような事件が起きた。あの伝説の英雄マッチョ&マスル
の銅像が建っている、世界最小の都市マッスルシティで、男が一人死んでいた。男の側に
はダイイング・メッセージが残されていた。
僕はさっそく、現場に直行した。
Mr.ムササビ
「うっ……酷い殺し方するなぁ……」
彼の名はMr.ムササビ。僕の右腕とも言える存在だ。ムササビにはガールフレンドがい
て、彼女の名はMs.モモンギャというらしい。
羊のポリー
「……この男の情報を」
Mr.ムササビ
「わかりました。殺された男性の名前はルイ12世。113歳です」
羊のポリー
「ルイ?もしかして……パックンチョ帝国の?」
Mr.ムササビ
「さすがポリーさん。勘が鋭いですね。そう、この男性はパックンチョ帝国の第
8380099389代国王……ルイ12世です」
羊のポリー
「やはりそうか……」
Mr.ムササビ
「ルイ国王の血液型は△型で、好きな食べ物は消しゴム。好きな芸能人は……タートルズ
のドナテロ。好きなものさしは30cmタイプです」
羊のポリー
「……犯人は23歳だ」
Mr.ムササビ
「えっ!?なんでそんなことが……」
羊のポリー
「被害者の血液型が△型だからだ」
Mr.ムササビ
「あっ……そうか!さすがポリーさん!」
羊のポリー
「感心してないで、この殺人現場の付近に住んでる23歳の奴をさっさと捜してこい」
〜7秒経過〜
Mr.ムササビ
「捜してきました!」
羊のポリー
「遅いぞ。5秒ですませろ」
Mr.ムササビ
「すみません。……それで、容疑者は五人いました」
〜容疑者リスト〜
名前 性 職業 年齢
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
おなら 男 屁 23歳
ドナテロ 男 タートルズ 23歳
ボールペン 女 主婦 23歳
ゴリリャ 男 ゴリラ 23歳
侍マン 男 武士 62歳
Mr.ムササビ
「……以上の五匹です」
〜おならとの面談〜
おなら
「オレは犯人じゃねぇよ。ルイ12世が死んだのは午後3時なんだろ?」
羊のポリー
「あぁ、そうだ」
おなら
「オレは2時から4時までずっと便所できばってたんだ。犯人はオレじゃない」
〜ドナテロとの面談〜
ドナテロ
「ピザくれ」
羊のポリー
「ルイ12世が死んだ時、君はどこにいたんだ?」
ドナテロ
「ピザくれ」
〜ボールペンとの面談〜
ボールペン
「アタシが犯人なわけないじゃない!」
羊のポリー
「ルイ12世とはどういう関係だ?」
ボールペン
「あんな男知らないわよ。さっさと家に帰してよ!」
〜ゴリリャとの面談〜
ゴリリャ
「ボクが犯人なんです。つい魔がさして……」
羊のポリー
「なんで人殺しなんか……」
ゴリリャ
「ルイ様がボクのメガネケースを盗んだから……」
〜侍マンとの面談〜
侍マン
「久し振りだな、ポリー」
羊のポリー
「侍マン……勝負だ!」
侍マン
「望むところだ!」
羊のポリー
「ぬぁあああぁぁ」
侍マン
「ふりゃあああぁああぁ」
一一容疑者との面談を終えた羊のポリーは疲れていた。
羊のポリー
「ふぅ……」
Mr.ムササビ
「犯人はわかりましたか?」
羊のポリー
「いいや、全くわからん。一体どいつが犯人なんだ……?」
Mr.ムササビ
「!そういえば、ポリーさんにダイイング・メッセージの内容、話しましたっけ?」
羊のポリー
「まだだ。聞かせてくれ」
Mr.ムササビ
「わかりました。ダイイング・メッセージは、こういうものでした」
〜ダイイング・メッセージ〜
『犯人はゴリリャです』
羊のポリー
「……!そうか……そうだったのか!」
Mr.ムササビ
「犯人がわかったんですか!?」
羊のポリー
「あぁ!」
「謎は、ほぼ解けた!」
(解決編)
羊のポリー
「……皆さんに集まってもらった理由は他でもありません。犯人の正体がわかったんで
す」
羊のポリーは、容疑者六人を便所に集めていた。
おなら
「犯人がわかっただとぉ!?」
ゴリリャ
「犯人はボクです!」
Mr.ムササビ
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて……ポリーさんの話を静かに聞いてください」
羊のポリー
「犯人の正体は、このダイイング・メッセージが教えてくれました。『犯人はゴリリャで
す』というダイイング・メッセージがね……」
ドナテロ
「ダイイング・メッセージが犯人を教えた?」
ボールペン
「そんなメッセージだけで何がわかるのよ!『犯人はゴリリャです』だけじゃ何もわから
ないわ!」
羊のポリー
「いいえ、わかります。このダイイング・メッセージから、犯人がメガネをかけているこ
とが」
犯人
「!?」
犯人は、うろたえた。
羊のポリー
「そして……血液型が◆型、誕生日が33月6億日ということも、このダイイング・メッ
セージから推理できます」
犯人
「……!」
羊のポリー
「犯人は……」
ゴリリャ
「犯人はボクだってば!」
羊のポリー
「犯人は、『侍マン』!お前だ!」
侍マン
「……ふっ……やっぱり、悪いことはできねぇな」
ゴリリャ
「犯人はボクですって!」
羊のポリー
「何故、ルイ12世を……?」
侍マン
「……あいつがいけないんだ。あいつが……俺の嫌いな韓国風キムチを食卓に運ぶから…
…」
Mr.ムササビ
「……署まで来てもらいましょう」
侍マンは、目に涙を溢れさせた。それからは、一言も言葉を発さなかった一一
ゴリリャ
「ボクが犯人なのに……」
一一それから4日後。羊のポリーは、自分の部屋で泣いていた。号泣していた。Mr.ム
ササビが、一人の女に殺されたのだ。その女性の名は一一
Ms.モモンギャ……
<続く>
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