『エドガン家の犬』 ジャンル ドラクエ4
作者 Rocky さん
投稿日 2001.2/28.15:42
rocky75の一言:部長しゃん、プレイ日記おもしろかったよん。ぶちょうって残酷ですね〜(怒+笑)。次の更新は早めにね! あと、余談:この投稿小説コーナーに感想コーナーを作ってくれたら嬉しいんですけど… ……無理はしなくていいんですけど。






<人間になる>



 私の名はペスタ。エドガン家に飼われてから、早一ヶ月………私は幸せだ。もし、あの
時、エドガン様が私を助けてくれなかったらと思うと………ゾッとする。

「ペスタ、ご飯だよ!」

「ごはんだよぉ」

 二人の愛らしい娘が、ペスタに呼び掛ける。もうこんな時間か………楽しい時間は早く
過ぎると言うが…………全く、その通りである。

(いただきます)

「どんどん食べてね」

 ペスタはものすごい食欲で、ものすごい速さで餌を頬張る。マーニャとミネアは、ペス
タのそんな姿を見るのが大好きだった。

(う〜ん、美味しい! おかわりはないのですか?)

「ミネア、ペスタなんて言ってるの?」

「わかんない」

(犬の言葉は、人間には伝わらないのですね………)

 ペスタは時々淋しくなった。自分の言葉が他人に伝わらない………これほど悲しいこと
は他にないだろう。

(人間になりたい………)

 ペスタの想いは、日に日に強くなっていく。

(そういえば………)

 ペスタは、ふと思い出した。

(昔、人間になったスライムがいると、父から聞いたことがある。名前は確か………スラ
リンだったか…………一度、どうやって人間になったか、お伺いしたいものだ………)

「あたし、犬になりたいな」

 マーニャが言った。

(え?)

「犬になりたい………」

(何をおっしゃるのですマーニャ様………)

「あたしもなりたい………」

(ミネア様まで………)

「いぬになって、ぺすたとたっくさん、おはなししたい…………」

「ただいま、今帰ったよ」

 エドガンが帰って来た。キングレオ城に錬金術の報告をしに行っていったのだ。

「お父さん!」

 マーニャがエドガンに抱きついた。

「? どうしたんだい、マーニャ」

「犬になりたいの」

「犬に?」

 エドガンが、マーニャに優しく語りかける。

「どうして?」

「ぺすたとおはなししたいの」

「ペスタと? そうか………」

 エドガンは、しばらく考えて、

「でも」

 こう言った。

「犬になったら、お父さんとお話できなくなるよ?」

「あ………」

 マーニャとミネアは、どきりとした。全く、エドガンの意見は正しかった。

「そんなのいや」

「そうだろう? だから…………」

 エドガンは、ペスタの方に向いて、言った。

「ペスタが人間になってくれたら………どれだけ素晴らしいことか………」

(私は人間になりたい。でも………どうすれば………)

「でも、別にそんなこと、気にする必要はないと思う」

 エドガンは、空を見上げながら、

「人間は人間として、犬は犬として………明るく精一杯に………」

 言った。

「生きていけば、いいんじゃないかな」

(エドガン様………あなたは…………)

 ペスタの願望は、その日を境にもっと強くなった。人間になりたい。人間になりたい。
人間になりたい一一一



<続く>