2人のつながり
ここはアリアハン。勇者アルスと3人の仲間達によってゾーマは倒され、世界中に平
和が訪れてから、20年あまり・・・・・。勇者アルスと3人の仲間達は、ゾーマを
倒したあともアリアハンには20年間一度も帰ってきていない。さらなる未知の都市
へと旅を続けているのである。だが、勇者アルスがアリアハンを旅立ったときに、勇
者アルスには2歳の弟がいた。勇者アルスの弟が大人になったときは平和が訪れてい
て、弟は兄とは違う、ごく普通の生活を送っていた。弟も物心ついたときに、父オル
テガと兄アルスのことを聞かされていた。アルスの弟も今は22歳になり、兄アルス
も30代後半の男になっているはずだ。これは、勇者アルスの弟、エニクスのアリア
ハンでの物語である一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
一。
エニクス「じゃあ行ってくるよ。」
妻「いってらっしゃい!」
朝7時。エニクスが出勤していく、いつもどうりの光景である。エニクスは学者のた
まご。20歳の女性と結婚をしている。学者のたまごであるエニクスは、アリアハン
のお城に勤めている。お城のアリアハン研究所で働いているのである。
妻「今日こそは早く帰ってくるんでしょ?」
エニクス「え、ああ、早く帰るようにするよ。じゃあ行ってくる!」
エニクスは家を出て5分ほど歩いて、アリアハンの交通には欠かせない、馬車乗り場
へついた。
エニクス「じゃあいつもと同じ所にお願いします。20Gですね。」
馬車で移動し始めて20分ほど・・・。目の前には、アリアハン城が見えていた。今
いる所からは、まっすぐ進むだけでアリアハン城に着く。アリアハン城は、アリアハ
ンのどこからでも見えるほど大きく高い建物である。そのアリアハン城で働くこと
は、たとえ雑用をやらされるにしてもアリアハン国民の夢である。そして、エニクス
はそのアリアハン城へ向かって毎朝馬車に乗っている。
だが
エニクス「じゃあそこを右にまがってください。」
エニクスが右にまがるように言った。しかしそれではアリアハン城へ行く道からそれ
てしまう。
道を右にまがってから、さらに20分ほど・・・。目の前にある建物はルイーダの酒
場だ。
エニクス「じゃあここで降ろしてください。」
そう言うとエニクスは馬車から降りて、ルイーダの酒場に入った。
ルイーダ「あ、おはよう。」
エニクス「おはよう。」
すると、1人のショートヘアの女の子が来た。
女の子「今日はどこに行こうか?」
エニクス「そうだなぁ・・。昨日は、世界の道具展示会に行ったからなぁ・・・。今
日は、サイクリングロードへ行こうか。きれいな景色が見えるんだ。そこを馬車でド
ライブするんだ。」
女の子「楽しそう!そこに行こっか!」
そう・・・・・。これがエニクスの1日の始まりである。
エニクスは、1ヶ月ほど前から妻や知り合いに隠れて、浮気をしていた・・・。妻に
は毎日仕事に行ってるふりをしている。朝から浮気相手とデートをして、夜には仕事
から帰ったようなふりを家ではしている。仕事は、何日もアリアハン城には黙って休
み、アリアハン城の同僚や上司もエニクスが毎日休んで何をしてるかはまったく知ら
ない。
そして、浮気相手はその女の子だけではなかった。
数日後・・・・・。
エニクスはいつもどおりアリアハン城に行くふりをして、家を出た。今日はエニクス
は散髪後で髪が短めになっている。今日は馬車には乗らず、家から歩いて10分ほど
で着く公園で女の子と待ち合わせしていた。
その女の子は、リボンをつけている。
そして、エニクスがその女の子を見つけた。
エニクス「ごめん、ごめん、遅れちゃって・・・・・。」
女の子「大丈夫よ。私も今来たところだから。」
エニクス「そっか。良かった。」
すると、エニクスはカバンから何やら小さい箱を取り出した。
エニクス「これ、指輪なんだけど・・・、気に入ってくれたらうれしいんだけど・・
・。」
女の子「え、私にくれるの?うれしい!」
女の子「私、おいしいランシール料理のお店を知ってるんだ!今日は私がおごるから
・・。」
エニクス「いやぁ、悪いなぁー。でもお言葉に甘えて・・・・・。」
そしてエニクスはこの日もデートを終えて、いつもどおり家に帰った。
エニクス「ただいまー。」
妻「お帰り!!」
エニクスの妻は帰ってきたエニクスを迎えた。
エニクス「あれ、今日はなんか、表情がすこし違うけど・・・。なんかあった?」
すると妻の表情がすこし戻って、
妻「え、そうかな?普通だけど・・・・・。」
エニクス「そう・・。なら良いけど・・・。」
妻「それより今日はエニクスの好きな、カルボナーラよ!」
エニクス「やった!食べよう。食べよう。」
今日もエニクスのいつもの1日が終わった。
その後も何日も同じような五、六股をかけて付き合う日々が過ぎていった。妻にも親
戚にも毎日、アリアハン城に行っていると見せかけている日々が続いた・・・・・。
だが、その騙し続ける日々は意外な形で終わることになった・・・・・。
ある日・・・・・。
今日はエニクスの妻が友達と約束した映画を見に行くという。エニクスより先に妻が
出かけた。エニクスは前の日に明日は残業になると妻に言っていた。エニクスは妻が
用意したサンドイッチを口にくわえながら、家を出た。
今日はエニクスは家を出てから馬車乗り場に行って馬車で向かった。途中で馬車を何
回も乗り継いで、家を出てから3時間が経過していた。
そして着いたのは、隣町のレーベである。エニクスはレーベの玄関で馬車を降りた。
エニクス「たしかここで待ち合わせだったな。」
まだ浮気相手はまだ来ていないようだ。エニクスは浮気相手が来るまで待っていた。
するとショートヘアをした女の子がエニクスに手を振りながら走って来た。
女の子「あ、もう来てたんだ!買い物しながら来たから遅くなっちゃって・・・・
・。」
エニクス「大丈夫だよ。さあ野球観戦に行こうか!今日の試合は注目の試合、レーベ
スライムナイトズVSポルトガスカイドラゴンズの試合だからね!」
女の子「今年はレーベが優勝するのよ!4番バッターのピエールがホームランを打っ
てくれるわ!」
エニクス「じゃあ行こうか!」
2人はレーベスタジアムへ向かった。
その日は、白熱した試合だった。2人はお互いを忘れて、試合に熱狂していた。女の
子の予想どおり、レーベの4番バッターのピエールが満塁ホームランを放った。その
後も白熱した試合が展開された。そして試合は、8−6でレーベが勝利した。
女の子「今日は楽しかったわ!また会おうね!」
エニクス「ああ。今度もまたデートしよっか。」
女の子「うん。じゃあ私は買い物してから帰るから東側の馬車乗り場に行くね。あな
たは西側の馬車乗り場でアリアハンに帰るんだよね?」
エニクス「そうだね。西側の馬車乗り場で、行きもレーベに来たからね。じゃあ、ま
た!」
こうしてエニクスは家に帰って、普段どおりの1日が終わる。・・・・・はずだっ
た。
エニクスは馬車で同じ道で家に向かった。今日はいつもより道が空いていた。普段は
渋滞しているはずだ。おそらくレーベ中の人達が今日の試合に浸っていて、スタジア
ムに残ってるなり家でテレビを見ているなりしていていつもより空いているのだろ
う。だがエニクスはそうはいかなかった。試合はデーゲームだったが接戦だったた
め、現在夜の7時を回っている。残業と言ってるとはいえ、できるだけ早く帰らない
と怪しまれると思ってるからだ。しかしそれどころかこれでは、予定より早く家につ
いてしまう。エニクスはとりあえず7時を回ってるので時間も潰す必要もないと判断
して、まっすぐ家に帰ることにした。
馬車はアリアハンに着いた。アリアハンに入ると道は混み出した。だが現在7時半
だ。混んでるが家には9時頃着くだろう。
そして、現在夜の8時半になった。渋滞から抜け出して一気に道が空いてきた。もう
すこしで馬車乗り場で馬車を降りることになる。
そして、馬車は馬車乗り場に着いた。
エニクス「ごくろうさま。じゃあ80Gで。」
こうしてエニクスは馬車を降りて、歩いて家に向かった。現在8時50分。ちょうど
9時頃に家に着くだろう。今日も、計画どおりに事を進めていったように見えた。1
つの予定外の出来事を除いて・・・・・。
いつも帰るときに歩く道を歩いていた。するとエニクスの家が見えた。現在夜の8時
54分。エニクスは家の玄関に着いた。そしてドアを開けようとした。だがドアが開
かない・・。おかしい・・・。エニクスはそう思った。いつもならエニクスの妻は家
にいるはずだ。
ともかくエニクスは持っているカギで家のドアを空けて、家に入った。だがやはり家
には誰もいない。
エニクス「なんでだろ・・・。しばらく待ってみるか・・・・・。」
そして・・、10分後、誰かが玄関に入ったようだ。エニクスはそれに気づいて、玄
関に急いで行った・・・。
だが・・、そこには目を疑うような光景をエニクスは目にすることとなった・・・・
・。
エニクス「あれ・・・?君は今日、レーベで会った女の子じゃないか・・・。」
女の子「あ、どうも・・・。ん・・?え・・?、なんであなたがここに・・・・・
?」
エニクス「なんでって・・、それはこっちのセリフだよ・・・。だってここは僕の家
だから・・・。」
女の子「え・・・?ここは私の家だけど・・・・・?」
エニクス「・・・・・。」
女の子「・・・・・。」
エニクス「あ!!!!!」
女の子「ああ!!!!!」
そう・・・・・。
考えてみれば起こりそうなことだ・・・。エニクスは毎日朝に家を出て、夜帰ってく
る。エニクスは昼間の家を見たことがない・・。この2人は髪型に凝っていて、いつ
もいろんなヘアースタイルをしている。浮気相手の名前は聞いていなかった。そして
エニクスの誤算だったのが、交通だった・・・。今日はいつもより帰るときは空いて
いた。よってエニクスは予定より早く家に着いた。妻は買い物をしてたばかりに家に
帰るのが遅くなってしまった。エニクスが今日は残業だと聞いたので、エニクスが帰
るのはもっと遅くなると予想していた。妻は毎日、ぐうぜんエニクスより早く帰れた
のであった。エニクスが感じた妻のあのときの感情は、浮気相手に指輪のプレゼント
をもらった喜びだった。おたがい浮気を隠していたのだ。そして、おたがい浮気して
ることに気がつかなかった。しかしその複数の浮気相手はおたがいに、しかもたった
2人で演じていたのだった。
終わり
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