ホイミソさんの PS版DQ4体験記 5
件名 : 序章
日付 : Wed, 7 Nov 2001 18:59:46 +0900 (JST)
序章
カキン!カキン!
2つの剣が、うす暗い地下室の中で交差していた。
男「どうした、その程度か、ソロ!」
ソロ「ウボァァァー!!」
ソロと呼ばれる、緑髪の少年は
剣圧に弾かれ吹っ飛んだ。
ソロ「(⊃∀` )イタイヨー」
男「むっ…仕方がない。今日はこの辺にしておくか。
明日も同じ時間にここで、稽古つけるからな。」
そう言うと男は立ち去っていった。
男はソロに剣術の指南をしていたようだ。
ソロ「あ〜あ、なんで毎日、地下室で
剣術なんか仕込まれてるんダロ。こんな平和なのにさ〜」
ソロはブツブツ文句を言いながら、起き上がり
服に付着したほこりを払った。
ソロ「…最初、おじさんに『地下室に来い』って
言われた時は、なんだか楽しいパーティーでも
開かれるのかと思ったのにヨー!」
ソロは不満を巻き散らしながら地下室をあとにした。
地上は太陽も沈みかけ、すっかり夕方になっている。
ソロ「あ〜、ついてねー!もう、こんな時間かよ。
まっすぐ帰るか・・・」
肩を落とし、足どりも重くソロは歩きだした。
が、2〜3歩ほど歩いたところで違和感を感じ
足が止まった。
ソロ「むぅ、誰かに見られている感触がするぞ…」
ソロはあたりを見回したが、誰もいなかった。
このあたりは見渡しが良好で人がいたとしたら
すぐに目視できる、ハズなのだが・・・
※「勇者さま、勇者さま…」
どこからともなく、か細い声が聞こえる。
が、あたりには誰もいない。まさか、幽霊?
いい知れぬ不安がソロを襲う。
ソロ「貴様、見ているな!」
精いっぱいの虚勢を張り不安を紛らわせた。
※「勇者さま、勇者さま…」
また、同じ声が聞こえてきた…
とこからともなく悲しそうな声が
聞こえてくるのは正直、不気味だ。
ソロ「あ、あう〜」
恐怖のあまりソロの表情が凍りつく。
その謎の声が近づいてきた気がしたからだ。
距離は半径5メートルというところか。
そのあたりにあるものといえば池くらいなものだった。
だが、なんと!
予想外にもその池から何者かが出現した!
それは体長20cm、緑色の小動物、
ちょっと大きめのカエルだった。
ソロ「カ、カエル?」
なんだ、カエルか。ソロはホッと胸をなでおろしたが…
カエル「勇者さま、私はこんな姿をしていますが…」
カエルが喋った…!
たちまち、ソロの表情がこわばる。
ソロ「お、お前が俺に恐怖を与えたというわけか…!」
そう言うとソロは脇にさしてある剣を抜き、
疾風のように、カエルに斬りかかった!
カエル「キャー!」
カエルは間一髪のところで避けた!
ソロ「惜しいィィ!貴様にも同じ恐怖を
味わさせてやるぞぉー!わははははは!!!」
カエル「ちょ、ちょっと落ち着いて下さい勇者さまー!
私は、ある国の王女でしたが…」
聞く耳持たず、しつように斬りかかるソロ…
ソロ「オラァ、海波斬!」
カエル「ヒエェ〜」
カエルは外見に似合わない、すばしっこい動きで回避し、
物陰に隠れた。
ソロ「むぅ!俺流、最速の剣技を持ってしても
かすりもしないとは…!」
カエル「聞いて下さい勇者さま、私は悪い魔法使いに
カエルにされてしまったのです!」
カエルはソロから死角になるような位置に隠れながらも
必死になにかを伝えようとした。
だが、頭に血の登ったソロは半分も聞いちゃいなかった。
ソロ「安心しろ、俺がお前のカエル人生に終止符を
打ってやる。人語を解するカエルなど薄気味悪いわ!」
カエル「(#・∀・)カエル!!!」
話にならないと判断したカエルはそう言い残し、
地下室へと続く階段へ逃げ込んだ。
だが、ソロの怒りはおさまらない。
ソロは外見に似合わず根に持つほうなのだ。
例えば、家族が魔族に皆頃しにされたりなんかしたら
魔族を根絶やしにするであろう。
ソロ「逃すかぁぁー!追撃じゃー!!」
ソロも続いて地下室へ降りていく。
ソロ「むぅ、見あたらない…。
どこに隠れやがったんだ…。」
カエルを見失ってしまったようだ。
とりあえず出口をふさいでからあたりを探し始めた。
ソロ「そこか!それともここか!」
ソロは手あたりしだいツボやタルを放り投げた。
だが中に入ってるものは薬草、種などだけ。
ソロ「と、なると奥の部屋か…」
剣を携え奥の部屋へとゆっくり向かう。
そこには、カエルの姿はなく一人の少女がいた。
ソロ「あ、シンシア…」
少女の名前はシンシア。
翠色の髪の女の子で村で唯一、ソロと年齢が近い。
ソロにとっては、しもふり肉を4つあげてでも
ラヴァーになってもらいたい大切な人だ。
そのシンシアが、地下室に一人で何をしているのか
興味しんしん丸であったが、
今はそれよりも大切な事がある。
ソロ「シンシア、こっちにカエル来なかった?」
シンシア「え、カエル?そんなの来なかったわよ…。
そんなに殺気だって、なにかあったの?」
ソロ「悪の手先のカエルを追い詰めたんだけど、
あともう一歩のところで、逃げられたんだんだよ。」
シンシア「悪のカエル…(・∀・)アヒャー」
ソロ「笑い事じゃないって。
人間の言葉を喋るんだぜ。」
ソロは真剣に訴えたが、それに反して
シンシアの笑い声はますます大きくなった。
シンシア「ウフフ・・・あっはっはっは…
もう駄目、笑いがこらえれないわ。
そのカエルって、こんなカエル?」
ドロン!
なんと、シンシアがさっきのカエルの姿に変わった。
ソロ「げっ、シンシアがカエルに…!」
シンシア「さっきのカエルはわたしよ。」
ソロ「ま、まさか、溺れた者がカエルの姿に
なってしまう池で溺れたのカー!?」
シンシア「違うわ。
モシャスっていう変身呪文を使ったのよ。
覚えたての呪文でビックリさせようとしたのに、
ソロったら・・・ヒドイ目にあったわ…」
ソロ「ゴ、ゴメソ。モシャスっていうの?
それ、変わった呪文だなー」
シンシア「いろいろ変身できて楽しいわよ、ほらっ。」
そう言うとカエルだったシンシアの姿が、
濃いピンク色で翼のはえた、いかつい巨体へと変化した。
ソロ「うわっ、デスタムーア(第2形態)だ!」
シンシア「ふふーん、特技耐性も高いわよ。」
ソロ「モシャスってさー、何にでも変身できるの?」
シンシア「う〜ん、見た事ある生き物なら大抵可能よ。」
ソロ「じゃあ、俺にも変身できんの?」
シンシア「もろちん出来るわ。」
ソロ「俺に変身して変な事なんかしたり
してねーだろうなぁ!」
シンシア「えっ…さ、さぁ?
そんな事するわけないじゃない。」
ソロ「問いたい、問い詰めたい!
小一時間ほど問い詰めたい!!」
シンシア「え、え〜と、もう行くわ。
おばさまが夕食の時間だから早く帰れって。
じゃあ、また明日〜」
シンシアは元の姿に戻り、そそくさとその場を去った。
ソロ「あ、待てよ、シンシアぁー!」
ソロはシンシアを呼び止めながらも
魔法について考えていた。
ソロは毎日、剣術の他に、村で最年長の老人から
呪文を教えてもらっている。
だが、その老人から教わるのは攻撃呪文ばかりで
モシャスなんて知りもしなかった。
ソロ「モシャスか…、俺も覚えるぜ!」
ソロは外見に似合わず根に持つほうなのだ。
例えば、家族が魔族に皆頃しにされたりなんかしたら
魔族を根絶やしにするであろう。
ソロは魔法の師である老人の家へと向かった。
ソロ「じじい、居るかぁー!
俺に魔法を教えてくれ。」
老人「おお、ソロよ。なにがあったか知らんが
やっとやる気になってくれたか。
今日はベギラマを教えてやろうと思っとったんたが
もう、こんな時間じゃ。また明日な。」
ソロ「構わねぇ、教えてくれ!今すぐにぃ!!」
老人「やれやれ…。ま、ええか。
ではベギラマを教えるとするかのぉ。」
ソロ「ギラも使えないのに、
そんな高等呪文、使えるわけねーだろ。
ほっとくとそのうち、『ライデインを教えてやる』とか
言いだしそうだぜ。」
老人「じゃあ、何を教えようかのぉ。」
ソロ「(・∀・)モシャス!」
老人「しかし、あれは魔法使い用の呪文じゃぞ。
ソロ向きでは無い。実用性も低い。」
ソロ「おいらはモシャスを覚えたいんだぁあああ!!!!!」
老人「無理なもんはムリじゃ。」
ソロ「ちっ、もういいよ!
独学でモシャスを覚えてやるからな。
わたし、モシャスを覚えます。必ず覚えます!」
吐き捨てるように言うと、ソロは老人の家を出た。
表に出ると宿屋の主人が店を閉めようと、
看板を下ろしているのが視界に入った。
ソロ「おじさん、店閉まい?」
宿屋の主人「ああ、ソロかい。もう店閉まいさ。
今日も客来なかったなー」
ソロ「つーか、なんで旅人も来ない
こんな山奥の村で宿屋をやってるの?
不自然、極まりない。」
宿屋の主人「ははっ、いつか客が来たら
いいな程度で店だしてるだけさ。
長くやれば旅人の1人や2人、来るかもしれないしな。」
ソロ「ふーん。あ、そうだ。俺、いつか、
ここの宿屋の初めての客になってあげるよ!」
宿屋の主人「え、ソロがかい?」
ソロ「(・∀・)うん!
そのうち、シンシアと休憩しに来る!」
宿屋の主人「ええ〜!
なんか宿屋の存在を勘違いしてないかい…?」
ソロ「じゃあ、おじさん、俺、帰るわ。
近いうちに必ず行くからね〜」
宿屋の主人「・・・」
ソロは目につくツボやタルを割りながら家へと帰った。
ソロ「ただいま〜」
家には両親が揃っていた。父親は卓へつき
母親は夕食の支度をしている。
ソロ「母さん、メシ〜」
母「もうじき出来るからソロも
テーブルで待っておいで。」
やがてテーブルに次々と料理が並び
家族3人で夕食の時間となった。
母親お手製のおいしい料理に会話も弾む…
父「ソロもいつかこの村をでていく日が
くるのかなぁ。」
母「嫌ですよお父さん、ソロはずっと私達と
一緒に暮らすんですからね…」
ソロ「ねぇねぇ、んなことより人肉って旨いと思う?
俺はマズいと思うな。だって、おいしい肉は
みんな草食動物だぜ。例えば鶏ぃぃ豚ぁぁ牛ィィ!!!」
父・母「・・・(空気読めよ。)」
山奥の村で生活するソロの一日はこうして終わる。
これより始まっていく物語をソロはまだ知らない…
序章 完
追伸DQ4:レポート:ホイミソさんの発売前PS版DQ4体験記 in 東京ゲームショウ